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Keyword エンキ

#11

人類の起源に関わったアヌンナキの一柱(ひとり)

神話においては人類に知識を授けたとあるように、
人類を人類たらしめ、他の生物と一線を画す脱却を促したひとりである。

エンキは、保安・防衛を司る要職も務め、
シェム・ハが叛乱を引き起こした際にも先頭に立って戦い抜いた。

幾たび斃そうと演算装置の狭間から復活を果たすシェム・ハに対し、
エンキはネットワークジャマー・バラルによって人類を分断する事を決意する。

それは、アヌンナキと人類を分かつ事であり、
常に自分の傍に寄り添ってくれるひとりの人間との別離も意味していた。

だとしても、エンキは計画を実行に移す。
そうしなければ進化の果てに自分たちと同じ「個」を備えた生命を、尊厳を、
シェム・ハの脅威から守れないからである。

気取られるよりも速やかに緊急任務遂行部隊を率いたエンキは、
激闘の果て、最後のひとりとなってようやくシェム・ハを討伐する。
だが、その時に負った深手により、エンキもまた命を落としてしまうのであった。

今際の際に、特別な存在であるひとりの人間を想うエンキ。

何も告げられぬまま、交わす言葉を奪われた事をきっと悲しむに違いない。
そんな顔は見たくない。
このまま戻って真実を打ち明けたい。
どうせ眠るなら、こんな荒野の果てではなく――

それでも。

シェム・ハが次の復活を果たすまでに。

自らの命が尽きるまでに。

ネットワークジャマー・バラルを起動する最後の使命がエンキの胸に燃えていた。

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